香桜~かおりざくら~
「おどろいた?」

おどろいた。
心の中でお返事する。

だって
私は変わっている。
人が「そうだよね」ってうなずける事にうなずけない。
人が「可愛い」っていってる物を可愛いとは思わない。
人とは好きなものが全然ちがう。
そして
私は知っている。
そういうのは人に不快感、嫌悪感をあたえると…。
「あの子…あんなこと言ってる」
「変なの~」
「一緒にいると変子って思われるよ~」
「話合わなさスギ」
―だから、私は凡人のふりをしてきた…。
皆と一緒に事言って
一緒の事感じたふりして
一緒にうなずいて…

「あのさ…あんた、人に変わってるって言われない?」

変わり者の私が思うのだ、きっと周りのも思われているはず。

「言われるよ?悪い?」
「わ、悪くはないけど…さ。」
「それに」

人さし指で自分の胸をトントンと叩いて

「も・く・と あんたじゃなくて、木斗。」
「あ…うん……オーケー!木斗。」

嬉しい。
たまらなく。
一緒の人だ…
変だなんて思わない…
私の事嫌わない…
同電波の人間…

「君は?」
「は?」
「名前」
「あ、あぁ…浦木優(うらきゆう)14歳。」
「そ、優。よろしく。」

そっと手を差し伸べてきた。
ここで恥かしめもなく下の名前で呼べて
手を差し出す様な所が変わってる…

「よろしく。木斗。」

差し伸べられた手を握り返す。
ここで恥ずかしめもなく下の名前で呼べちゃって、
手を握り返せちゃってる
私も変わってる…


これが私達変わり者同士の
出会いだった。

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