香桜~かおりざくら~

一緒に

5月3日

「バイバーイ」

中学3年のクラス替えから早1ヶ月。
そしてあいつもと出会って早1ヶ月。
けっこう生活に慣れてきて、
一緒に帰る友達もできた。
そして分かれ道で手を振る。
笑顔で、皆がしている様に。

あの木斗は同じ学校だった。
まぁ、クラスは違うケド。

「まった?」
「うん。3分。」
「そんなに待ってないじゃん。」
「だよね。僕もそう思う。」

私の日課はその木斗と放課後香桜の下でこうやって会うことだ。
その木斗とは、学校では全然話さない。
すれ違ってもムシ。
そう、他人みたいに…

「何食べてんの?」
「新商品のオレンジ」
「は?何?オレンジに新商品とかあんの?」
「うん。いつもはアメリカ産のオレンジだけど、今回はブラジル産。」
「ふぅん」
「いる?」
「うん」
「じゃ、100円」
「死ね」
「うそうそ、ん。」
「ありがと」

ここではホントに自然…
本当の自分がバリバリでるくらい居心地がいい。
ま、そう思ってるの自分だけかもだけど。
…なんで「学校」と「ここ」とじゃこんなに違うんだろ……
別にしたくてしてるわけじゃないし、
耐えられないくらいイヤってわけでもない。

「ね、学校楽しい?」

ふいに聞いてみた。

「別に」
「別にって?」
「ふつう。それ以下でもないし、それ以上でもない。」

きっぱりと言い放った。
また言い回しが難しい…!

「へぇ…」

対照的にあいまいな返事の私。

え…じゃ、なんでシカト…っていうか他人ふりされてんの?
なんとなく?
話しかけにくいから?
私と一緒?
でも、絶対そんなヤツじゃないよなぁ…
いきなり
「うん、変わってる」
なーんて話しかけてくる様なヤツだしなぁ~…
え、じゃぁ純粋に知り合いって思われたくないとか?

「ねぇ…友達とかに私のトコ話す?」
「ううん。」

何それ…
やっぱりそうなんか…

「あ、そ!」

トンッと木の枝から勢いよく降りた。





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