香桜~かおりざくら~
5月4日

…どうしよう
今日…香桜…行こうかな…
ど、どどどどうしよう…
気持ちばっか焦る…

「ねーぇー!きーてるぅー!?」
「ぅえ!?」

びびび、びっくりしたぁ…

「あいつ、マジむかつく!」
「へ?だれ?」

今一緒にしゃべってるのは同クラスの
下川理菜(しもかわりな)だ。
ペラペラ話して、くるくる動く
お調子者。
でも、女子の中では
絶大な権力を持っている。

「あいつよ!や・ま・の!」
「ぅええ!?」
「きゃぁ!?」

叫んだ。っていうか吠えた。

「もう!いきなり大きい声出さないでよ!」
「ご、ごめん。え…山野って、山野木斗?」
「うん。ほんとうざい!」

ななな、何したんだ。あいつ。
よりによってこのわがまま
女王様、理菜に…

「え、なんで?」

おずおずと聞いてみた。

「なんかさぁ~、廊下歩いてたらね?ウチと仲良しの男子と山野がいてぇ、んで、まだアタシそいつにメアド聞いてなかったわけぇ。で、聞きに行ったの。そんで山野も居たからぁ、ついでに聞いてやろうって思ってぇ、聞いたのぉ。
そしたらアイツ、なんて言ったと思う!?」

いちいち焦らすなぁ~…。

「な、なんて言ったの?」
「『興味ないヤツにメールアドレス教えたくない。』だよぉ!?どぉ思う!?」

う、うわぁ~…
言っちゃったなぁ~…それ。

「ムカつかない!?」
「あぁ…うぅ~ん…まぁ、ねぇ…?」

こういう曖昧な返事にも慣れてきた。

「私があんなヤツに聞いてやってるんだよ!?なのにあんな言い方しやがって…

「そそ、そういう言い方は…ねぇ?悪い…よ…ねぇ?」
「でっしょぉ!?」

チクッ
痛…
ちょっと、心臓の真ん中あたりが
痛くなった。

木斗の事…悪く言っちゃった…

同電波の…同じ種類の…
木斗の事…。


ゴメン…。
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