十字架に愛を



「倒れられちゃ困るから。」


そう言って、駆け寄った私を軽々と抱き上げる。


「…ありがと。」


そうだよね。


餌がないと、困るもの。


「今日は、どこから食べようか。」


耳元で琉が囁く声に、ドキッとする。


いけないのに。


食べられる前の魚が、私にドキッとするなんてこと、ないのに。



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