十字架に愛を
琉の喉を私の血液が流れていく音が私の耳まで届く。
「りゅぅ…っ!」
頭の中が真っ白になってくらくらする。
「はぁ…、大丈夫?」
琉が私の首筋から口を離して、私を抱きしめる。
「はぁ…、っうん。大じょ…ぶ。」
私が答えると琉は優しく唇を重ねた。
「…昔、みたい。」
私はやんわりと微笑む。
あれは、まだ私と琉が幼かった頃。
『珠妃、琉様よ。』
物心がつき始めて、初めてお母さんにお隣に連れていかれた。