朝が待てなくて

「ひっどーい!」って笑ったら、大淀まで笑顔になった。


口の端っこだけじゃない彼の満面の笑みは


なんだかレアで
すごい可愛くて


樹がいなかったら好きになっていたかもなぁ…なんてちょっとだけ思った。






大淀と別れ、運動場を突っ切り部室へと向かう。


グランドの片隅にオンボロの部室が並んでいて、各ドアにはそれぞれの部の名称が落書きよろしく色とりどりにペイントされている。


眩しい日差しと心地よく渡る風。
今日の空はやたらと青くて――


制服のポケットに入れっぱになっていた日焼け止めの容器を、ちょこんと指先で確かめるように転がした。




< 297 / 771 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop