朝が待てなくて
心の中で祈っていたら、彼の胸にしがみついたままフワッと体が浮いた。
え?
「ちょっと休もう」
樹はわたしを簡単に抱きあげると、石段をのぼって店内に戻る。
わ、わ、こんなふうに抱っこされるのは子どもの頃以来。
そうして彼は、満席時に待つ客のために並んだ椅子の上に、そっとわたしを下ろした。
「どうなさいました?」
さっきレジにいた店員さんが、そばに来て声をかけてくれる。
「悪い。貧血だから休ませて」
樹はそう説明すると、わたしの横に腰を下ろした。
「頭低くしたほうがいい」
軽く肩を押されて、わたしはちょうど彼にひざまくらをしてもらう体勢となった。
お母さんのひざで眠る子供みたい。