朝が待てなくて
「浮気じゃなかったんだ?」
だいたいの事情は察したらしく、ポツッと大淀に訊かれた。
「うん」
固まったまま小さくうなずく。
「朝の電話は祐二さんだったし、海行きをドタキャンしようとしたのも体調が悪かったんだって」
「彼氏、具合悪いの?」
中村も心配顔で訊いてくれた。
「昨日熱中症で倒れたんだって」
熱中症ってどんなだっけ?
死んじゃう人もいるんだよね?
次の日海になんか来て、大丈夫なの?
頭痛い?
吐き気がするのかな?
体調悪いって言われたのに、そんなこと一度も気にしてあげなかった。
ただの一度も……。
夜中、たった一人で真っ直ぐ前を見て運転していた樹の横顔を思い出す……。
朝、渡したおにぎりは、4つとも封を切らずにシートの上に転がっていた。