朝が待てなくて

車を出す前に祐二さんと彼女が振り返って挨拶をしてくれて、今日の行き先を告げる。



「結構穴場なんだぜ」


と隣で樹が言った。




…うわ、懐かしい声が耳元に響く。


こんな近いのは初めてかも知れない。




あ、いや、抱き締められたことあるし
いやいや、抱きついたこともある。



手もつないだりとかしてたのに

何で今はこんなにも恥ずかしいんだろう?




ブランクがあるからか、間近で話しかけられるだけでドキドキした…。



腕が触れるほど近くに座るのは、それでもやっぱ初めてかも。






「大きくなってんの?」


茶色がかったきれいな瞳で、彼は人の顔を覗き込んで笑う。




「え、胸?」


「バ、バカ、背だよ、背っ!」





ジロリと、お父さんが振り返った。



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