朝が待てなくて
「自分の気持ちわかった?」
「……うん」
「あいつじゃなきゃダメだったろ?」
「う…ん」
「どんなに逃げたって、逃げられないんだよ。きっと」
樹を好きだという想いからは逃げられない。
「帰る?」
「うん」
わたしがうなずくと、大淀が心底ホッとしたように息をもらした。
「あの、ゴメンなさい!」
ペコンと腰を折り、大淀に最敬礼する。
「こうなるってわかっててつきあってくれたんだよね?」
「あー、説得するより、自分でわかったほうが早いと思ったんだ。
どーせ途中で引き返すだろうと思ったのに、お前ってば意地っ張りで全然引かないし、まるで無防備でさ……。
俺、一瞬理性ブッ飛んだし」
ゴメン、と大淀は照れくさそうに言った。