朝が待てなくて

それから彼は部屋番号が書いてあるドアにチラッと目をやり、つぶやく。


「部屋の中に入ったら、抑えられる自信がなかったんだ」




本当にゴメン、大淀。


何重にも傷つけているのに
いつもいつも面倒をみてくれて


こんなにも大切にしてくれて……。






「ちゃんとあいつと話してみろよ」


エレベーターで下に降りているときに大淀が言った。


「樹?」


「ああ。あいつ、彼女に黙って別の女と同棲始めちゃうようなやつだとは思えないんだけど」


「だから美里さんだけは特別なんだってば」


「お前、そればっか言うけど、ホントのところはわからないだろ? 自分じゃないんだし」




「……うん」


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