朝が待てなくて

1階のロビーに着き、無人のフロントで大淀は、何か手続きをしている。


制服姿でポケッと待っていると、他のカップルと出くわして、気まずいから下を向いてやり過ごした。


『最近の女子高生はスゲーのな。こーゆーとこでヤリ放題ってか』


なんて聞こえよがしにささやかれている。


すっごくイヤな気持ちになってたら、大淀が戻ってきてスッと手を引いてくれた。




「大丈夫?」

「うん……!」




手をつないだまま外を歩く。


辺りはもうすっかり暗くて、空気がひんやりとしていた。




「結局、部屋使わなかったから前払いした金戻ってきたんだ」


「おー」


「これでなんか食おっか」


そう笑った顔が可愛くて、優しくて、


大淀の隣は居心地がいいよ。




わたしも大淀みたいに強くなりたい、って思った。


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