朝が待てなくて

「ちゃんと言えんのか?」と大淀は心配顔。


「元カノが部屋にいるのを見てショック受けてるところを、俺に強引に連れまわされてたって言えばいいから」


「うん…」


「もしホテルに入ったのがバレてても、何にもなかったって、はっきり言うんだぞ」


「でも、キス……したよ?」


「バカ、あれは俺が勝手にしただけだ。お前の気持ちは揺れなかったんだし、なかったも同然なの」


「う……ん」




「真実だからって、隠さず言えばいいってもんじゃないからな。真実の通りには伝わらないんだ。わかってる?」


なんて妙に深いことを言う。




「わかってるよ」


わたしだって子供じゃない。


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