朝が待てなくて

ずっと美里さんの存在が不安だったこと

二人でカフェから出てくるところや、鍵を渡しているところを見て、誤解してしまったこと

やけになった気持ちや樹を大好きな気持ち、謝りたい気持ちをメールにのせて何通か送ったけれど、


それをもう一度言葉にしようとしたとき、樹が言った。




「読んだよ、メール」


あ……。


「だったらわかってくれた? わたしの気持ち」




「いや、わかんねーし」


すがりつくようなわたしの言葉を、バサッと切り捨てるように樹は言った。




「美里のことで不安にさせたのも、ウソをついて混乱させたのも俺が悪いと思ってる。

だけどお前はなんで、それを俺に言わないの?
なんで俺じゃなく大淀に話すんだ?」




樹の目はなんの迷いもなくわたしを見つめる。


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