朝が待てなくて
「そっか……んじゃ、これな」
樹はちゃりんと、わたしの手の中に鍵を落とした。
「まだ返ってきてなくて鍵1個しかないんだ。お前出るとき閉めたら持っといて」
「え、じゃあ樹が困る」
「今日は日帰りだから、もどったら真琴のところへ取りに行くよ」
樹はわたしの頭に大きな手をのっけてニッコリと笑う。
「いってらっしゃい、気をつけてね」
思いきって、彼にバフッと抱きついた。
「待ってるからね」
「お」
背中に腕をまわして、長身の樹がすっぽりとわたしを包み込んでくれる。
「……いいなぁ、やっぱこーゆーの」
なんて笑う声――。