朝が待てなくて

「真琴」


「ん?」


「俺がんばるから」


たくましい腕の中から樹を見あげる。




「もうがんばってるよ?」


「もっともっとがんばる」




樹はギュウッとわたしを抱き締めた。




「がんばって、絶対にお前を幸せにするから」


「もう……幸せだし、すっごく」




そう答えたら、バカ、と小さくつぶやいたきり、樹はわたしを抱き締めたまま、しばらく動かなかった。






それから体を離し、彼はわたしの頭をポコンとやる。




「借金返したらもっといい部屋に引っ越すぞ、真琴」


「うん」


「そうしたらそんときは
……合い鍵もらってくれる?」




わたしの目を真っ直ぐに見ながら、樹はそう訊いた。


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