朝が待てなくて

「…ヤ……」


声にならない声を発して取り落とした携帯を、サホリンとミャンマーが拾ってのぞき込んだ。




「と、とにかく電話しよう、真琴」


サホリンが祐二さんの番号に電話を返しながら、携帯を手渡してくれた。


コール音がすぐに止んで祐二さんが出てくる。




「も、もしもし」


「まこっちゃんか?」


「う、うん」


「あのな、樹が事故ったらしいんだけど、確かなことがまだよくわからないんだ」


「わからないって?」


「東名高速でトラックの横転事故があって、うちのトラックだったって、会社に連絡が入ったんだ。偶然現場を通りがかった知り合いのドライバーが電話をくれてな」


「うん……」



涙が出てくる。



「だけど警察や病院からの連絡がまだなくってさぁ」


祐二さんがイラだった声を出した。


< 708 / 771 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop