朝が待てなくて

「あの、座って下さい。もっと椅子借りてきますから」


2脚しかないパイプ椅子から立ち上がり、病室を出ようとすると、みんなに引きとめられた。


「いいよ。そんなに長居しないから」


「でも」


「それより真琴ちゃん、樹と仲直りできた?」


香美さんがこっそり訊いてくれた。


コクンとうなずくと、よかったね~って、肩をポンポンと叩く。




結局4人で立ち話のようになり、祐二さんが事故のいきさつとか樹の具合とか、2人に説明してくれた。




 * * *




19時までという面会時間のギリギリまでいたけれど、樹は最後まで目を覚まさなかった。


あんまり気持ちよさそうに寝ているので、起こさずに帰ることにする。


本当はずっとつきそって、樹が目覚めたときに目の前にいてあげたかったんだけど、実は健康体の樹はただ寝てるだけなので、つきそって泊まるなんて、病院側に許してはもらえないそうだ。


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