朝が待てなくて
「おっ、一本桜見て来たのか?」
木立の間を抜けたとき、ちょうど向こうから祐二さんと香美さんがやって来た。
パッと速攻で、つないでた手を樹が離す。
「あっれー?」
それを見逃さず、祐二さんはにやにやと笑ってわたしに言った。
「狼に襲われちゃった?」
「えっ、まだ…」
真っ赤になる。
「いやいや、襲わないから」
わたしの答えが不服なのか、樹が否定し直す。
それを見て、祐二さん達がケラケラくすくす笑った。
「樹、お前こんな野外で野生化してんなよ」
「は? してねーし」