孤独な花と孤高の王子





「…わかった。すぐ行くから本社に着いたら誰か案内するように言って」


そう言うと後輩も安心したような声で返事をし、電話が切れる。


私は必要なデータのまとまっているメモリースティックと名刺入れを持ち、同じ敷地内にある本社ビルに向かった。






―――私が普段仕事をしている研究開発室は本社ビルから歩いて数分の場所にあり、なにかあればこうやって本社に向かうことになる。


その途中ふと空を見上げると、雲一つない青空が見えた。
…その青空がなんだか嫌みに感じられて私はあまりいい気持ちにはなれないのだった。





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