ラフ
「また、もし何か思い出したら連絡ください」

そう言うと、今里と桜橋は引き上げていった。


しばらくたって。時刻は22時を回ったくらいだったか。泉が家に帰ってきた。

「ただいま~」

「あ、お帰り!」

パタパタと玄関へ迎えにいった。

「奈緒!」

抱きつこうとしてくる泉は、リビングに人がいるのに気づいたのか、途中で動きが止まった。

「こっちこっち」

リビングに連れて行くと、九条さんとの初対面を果たした。

「どうも。南警察署の九条です」

「あ、どうも。泉です」

荷物を置いて、お互いに軽く会釈をした。
ソファに座ったとき、テーブルの上においてある、2枚の写真に気づいた。

「これは?」

「あぁ、なんか私の住所とかを書き込みした人みたい。田辺洋子さんって人。もしかして、知ってる??」

「うーん・・・なんか、どっかで見たような気が・・・」

『えぇ!?』

「でも、田辺洋子さんって名前は聞いたことない、と思う」

うー、と三人で頭を抱えた。

「高松さんも、鼻と口に覚えがあるとかって言ってたんよね」

「鼻と口・・・・ねぇ」

そう言うと、写真を手に取り、まじまじと見る。
しばし、沈黙がその場を包んだ。
< 144 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop