ラフ
「あぁ!」

大きな声で叫ぶ泉。

「なになに!?」

びっくりして、泉の方を見る。

「思い出した!鼻と口!」

「誰かわかったん!?」

「愛ちゃんや!」

「え」

「愛ちゃん。ほら、奈緒もみたことあるやろ?」

知らないわけじゃない。もちろん知っている。・・・なにせ、何度も私が泣いた理由のじょ一つやもの。

「でも、愛ちゃんって、私より年上に見えたけど・・・」

よく見てみると、写真の顔は、化粧をしていない。愛ちゃんの化粧を思い出す。確かに同じような顔になるかも知れない。

「・・・もしかして、愛って源氏名?」

「誰かわかったの?」

九条に聞かれ、たぶん、と頷いた。


数十分後、九条からの連絡を受け、今里と桜橋が、泉の家に来た。
泉から話を詳しく聞いていた。

「では、本名等はわからないわけですか」

「はい。俺は、愛が本名だと思ってましたから」

「しかし、なぜ、彼女は伏見さんの家がわかったんでしょうか」

「伏見さんは、この人と以前から面識が?」

「いいえ・・・」

思い返してみても、やはり思い当たる知り合いではない。ましてや、家をなぜ、知っていたのかがわからなかった。

「あの、もしかしたら、何ですが」

「なんですか?」

「その、書き込みのあったという日、彼女を追い出して、俺、奈緒の家に向かいました。そのとき、もしも、ですが。彼女が俺の後をつけていたとしたら。・・・奈緒の家がばれたかもしれません」
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