ラフ

真実と過去

その日、奈緒と九条は、泉のベッドで寝た。
泉はリビングのソファで寝た。

「う・・・・ん・・・・」

目が覚めた。眠たい目をこすりながら、起き上がった。九条はまだすやすやと眠っていた。携帯を確認すると、時間はまだ7時だった。
九条を起こさないように、そっと部屋を出た。リビングに行くと、すでに泉は起きて、準備をしていた。

「あれ?おはよう。今日は早いんやな」

奈緒が声をかけると、泉はびっくりして振り返ってきた。

「おはよう、奈緒。もう起きたん?」

うん、と頷いた。

「泉君は、もう、出かけるん?」

聞くと、残念そうに、うん、と頷いた。

「九条さんは?まだ寝てんの?」

「うん、ぐっすり寝てた」

笑って声をかけると、泉がそっと隣に近寄ってきた。

「・・・今日は?」

「とりあえず、今日もお休みかな」

「そっか。そしたら、今日もここにおるんよな?」

「うん」

じゃぁ、といって、家の鍵を渡してきた。

「え?これ・・・」

「いるやろ?」

「・・・ありがとう」

にこっと笑った。

「今日は昨日より早く帰ってくると思うわ」

「わかった」

玄関まで見送る。

「それじゃ、行ってきます」

「いってらっしゃい」

泉と、久しぶりのキスをして、見送った。
< 147 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop