ラフ
エピローグ
***** 奈緒's View *****


「泉君に、いいニュースと、悪いニュースがあります」

日曜日、珍しく泉が午後から休みだったので、奈緒の家で、ゆっくりと2人で過ごした。昨日作った、プリンをほおばりながら、泉はじっと奈緒を見つめる。

「先に、いいニュースから」

「私のお父さんが見つかりました!」

「ほんとに!?」

「うん」

少しテレながら笑ってたら、よかったな、とくしゃくしゃっと頭を撫でられた。

「じゃ、それじゃ次。悪いニュースね」

「あー・・・聞きたくない・・・」

「昨日、私は、高松さんの実家に泊まりました」

泉の顔が一気に険しくなった。

「・・・なんと、私のお父さんは、高松さんのお父さん。高松まつたかさん」

「は!?」

「私のお母さんのこと、知ってた。いっぱい、私の知らないお母さんのこと、教えてもらった」

泉は絶句する。

「泉の先輩の、高松さん。私の腹違いのお兄ちゃんやった」

「っは!そうか!」

「ゆうき兄ちゃん。俺の認めた相手やなかったら、許さんって言うてた」

一気に真っ青になる。

「・・・いつ、お兄ちゃんに挨拶する?」

意地悪く聞いてみた。

「い、いつでも?俺は、奈緒のこと泣かせたり・・・」

言いかけてはっとした。
泣かせてる。しかも、高松に見られている。

「――――もう、泣かせたりしない」

そう言うと、優しくキスをしてくれた。
私は、そっと、腕を首に巻きつけた。

「うん、信じてる。―――――要」

どきどきする。名前を呼ぶだけ。それなのに、信じられないくらい心臓が高鳴った。泉の目は、大きく見開かれた。

「大好き」

そう言って、自分からキスをした。泉もそれに答えるように、大切に、キスしてくれた。




「愛してる」
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