ラフ
「せやから、正直嬉かってん。俺のことわかっても、嫌やって、拒否されたのが」

「・・・Mですか?」

「・・・かもな」

笑いながら答えてくる。

「でも、その子が、少しずつ心を開いてくれて、俺の隣で笑ってくれててん。最高やろ、そんなん。ましてや、自分の好きな子や。もっと笑わしたろ、幸せにしたろうって思うもんやで」

嬉しそうに話す高松。
その顔に少し、ドキドキしてしまった。

あかん、なんで、こんなにドキドキすんねやろ。私には泉がおるのに。

そう思った瞬間だった。

―――泉――――・・・・・


高松はいい人だ。とても。周りから、誤解を受けやすい性格だし、女ったらしだし、どうしようもないけど。
でも。
いい人だ。

けど。

私の隣で一緒に笑って欲しい人とは違うと思う。
笑って欲しいのは、泉だけだ。
ほんの少し前に出会ったばっかりなのに。
それでも、私は。

泉がいいと。

そう、思った。


「高松さん、私、彼氏いますよ?」

「知ってるで?」

意外な反応が返ってきた。
もしかして、泉の彼女だってばれてるのかな??

「なんで?」

「だって、女の子が、あんなに泣くのって、自分の好きな男が絡んだときぐらいやろ」


・・・ちょっとなんか違う気がしたが、あながち泣いてた理由自体は、その通りだったので、反論できなかった。
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