ラフ
明日香に今まで何をしていたかを話すと、パシッと軽く頭をたたかれた。

「もー!心配したんやからね!要君に言わんでも、私には言うといてよ!」

明日香の目が、少し腫れていた。ほんとにごめん、と謝ると明日香はいいよ、と笑ってくれた。

「今日はこれからどーすんの?」

明日香に聞かれて、少し考えた。

「一応、泉君とご飯を食べに・・・行くと思う」

頼りない回答に、大丈夫か?と怪訝な顔をする明日香。

「なにそれ、一応とか、思う、とか」

ほっぺたをぽりぽりっとかきながら答える。

「いや、昨日の時点では、夕飯は一緒に食べるってことになってたんやけど」

ふんふん、と頷く明日香。

「でも、今日、いろいろあったやろ?で、この仕事が終わった後のことは決めてなくって」

あはは、と笑うと、明日香がため息をついた。

「あんたねー。そういうとこがほんまに…もー、かわいいやつめ」

明日香がまた抱きついてきた。


「何々?女同士で抱きつくなんてもったいない。俺も混ぜてー!」

聞き覚えのある軽薄そうな声とともに、いきなり後ろから抱きついてくる人物がいた。
ちらりと顔を向けてみると、思った通り、高松の姿があった。

「まざらんでいい!」

ぺちっと額を叩く。明日香はびっくりして、思わず離れた。

「ピースの高松さん!?」

ひらひらと手を振ってくる高松。
しかし、明日香の一言で、周りにいた、ファンや追っかけが、高松の存在に気づいた。

「うそ!高松さんどこ!?」
「いた、あそこ!」
「なに、あの女!」

やばい雰囲気がしてきた。

「奈緒ちゃん、ここにいたら多分、殺されちゃうよ~??」

そういって、奈緒の腕を引っ張って高松が走り出した。

「ちょ、まっ・・・!!明日香!」
< 74 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop