魔法の戦士《bellator》
酒呑童子
幸大、可鈴の部屋


「テナ、調子はどうだ?」

幸大がコーヒーを運びながら言う。

「悪くないわ。」


「それよりも幸大、あの男が何者か…目星が付いていると言ったな。」

翡翠が言う。

「ああ。

テナはあの男について知ってることは?」

「何も知らないわ。

彼は名前すら名乗らなかったもの。」



「あいつの名は、

酒呑童子


日本の三大妖怪の一つだ。」



「何!?

しかし、奴は遥か昔に童子切で…」

「そう。

首を切られたが、その首を京都に持ち帰った時、穢らわしいとされ京都の外の道端に埋められた。


そう言われている。」

「幸大はあの時、首より下の部分が本来のモノじゃないって言ってましたの。」

可鈴が言う。


「酒呑童子が敵だとして、倒すには童子切が必要では…」

翡翠が言う。

「無駄だな。

童子切では殺せなかった。

それに、酒呑童子の首はどんなナマクラ刀でも斬れた。


なぜなら奴は神から授かった酒で寝たんだからな。」

「そうなのか!?」

翡翠が言う。

「ああ。

酒の名前は忘れたがな。



つまり、酒呑童子は首を斬られて死んだんじゃない。


奴は、神から授かった酒で最近まで眠り続けたんだ。」
< 105 / 131 >

この作品をシェア

pagetop