HOPE
「転校初日なのに、授業中に倒れて皆に迷惑掛けたし……」
ああ、確かに迷惑だった。
「でも……まあ、運んだのは俺だし……皆には、迷惑は掛かってないと思うぞ」
「そうなのかな……」
「そうだって」
「でも……」
まだ何かあるのか。
「クラスの人達とも、あんまり話せなかった」
たしかに、皆が宮久保に詰め寄っていた時、彼女は話し出す切っ掛けを見つけられずにいた。
「それは、お前次第なんじゃないか? 現に、俺と喋ってるだろ」
「そういえば……」
「まずは気軽に話せる友達を作れ。話はそれからだ」
宮久保にそれだけ言い残して、俺は保健室を後にした。
七月という事もあり、放課後になっても暑い日射しが弱まる事はなかった。
きっと、これからもっと暑くなるのだろう。
窓から差し込む日射しは、宮久保の机を容赦なく照らしている。
結局、宮久保は最後の授業の時間になっても、戻って来る事はなかった。
彼女の鞄がロッカーに入っているのを見るに、まだ帰ってはいないのだろう。
「綾人、そろそろ部室に行こうぜ」
部活へ行く用意を終えたのか、蓮が俺を呼ぶ。
時計を見ると、部活開始の時間が迫っていた。
俺は荷物をまとめ、蓮と教室を後にした。
野球部の練習は、まず部室に集まり、全員で挨拶をしてから始まる。
その後に、一年生はランニング。
二、三年生はキャッチボールをする事になっている。
俺はいつも通り蓮とペアを組み、キャッチボールを始めた。
俺と蓮は、野球部の次期一軍バッテリーだ。
だから、このペアは自動的に決まる様な物だ。
「宮久保と何かあったんだろ?」
そんな事を言いながら、蓮は俺にボールを投げる。
「まったく、しつこいぞ! 何もないって!」
ボールと返答を同時に返す。
「だってさぁ、お前が宮久保に給食を持って行って、給食の時間が終わる頃に戻って来るなんて、明らかに何かあるだろ?」
ああ、確かに迷惑だった。
「でも……まあ、運んだのは俺だし……皆には、迷惑は掛かってないと思うぞ」
「そうなのかな……」
「そうだって」
「でも……」
まだ何かあるのか。
「クラスの人達とも、あんまり話せなかった」
たしかに、皆が宮久保に詰め寄っていた時、彼女は話し出す切っ掛けを見つけられずにいた。
「それは、お前次第なんじゃないか? 現に、俺と喋ってるだろ」
「そういえば……」
「まずは気軽に話せる友達を作れ。話はそれからだ」
宮久保にそれだけ言い残して、俺は保健室を後にした。
七月という事もあり、放課後になっても暑い日射しが弱まる事はなかった。
きっと、これからもっと暑くなるのだろう。
窓から差し込む日射しは、宮久保の机を容赦なく照らしている。
結局、宮久保は最後の授業の時間になっても、戻って来る事はなかった。
彼女の鞄がロッカーに入っているのを見るに、まだ帰ってはいないのだろう。
「綾人、そろそろ部室に行こうぜ」
部活へ行く用意を終えたのか、蓮が俺を呼ぶ。
時計を見ると、部活開始の時間が迫っていた。
俺は荷物をまとめ、蓮と教室を後にした。
野球部の練習は、まず部室に集まり、全員で挨拶をしてから始まる。
その後に、一年生はランニング。
二、三年生はキャッチボールをする事になっている。
俺はいつも通り蓮とペアを組み、キャッチボールを始めた。
俺と蓮は、野球部の次期一軍バッテリーだ。
だから、このペアは自動的に決まる様な物だ。
「宮久保と何かあったんだろ?」
そんな事を言いながら、蓮は俺にボールを投げる。
「まったく、しつこいぞ! 何もないって!」
ボールと返答を同時に返す。
「だってさぁ、お前が宮久保に給食を持って行って、給食の時間が終わる頃に戻って来るなんて、明らかに何かあるだろ?」