内緒の保健室
―…『ここかぁ…』
どうでもいいけどさ…。
家、高級っぽすぎませんか?
マンションだけど、本当に大きくて、ピカピカしてて…。
しかも、ここの最上階が家なんて…。
『よしっ…』
あたしは深呼吸を2、3回して、蓮斗の部屋に向かった。


ピーンポーンッ…。
ピーンポーンッ…。
「はぁーいっ」
ガチャ…。
2回のピンポンで、ドアは開いた。
「あら、どちら様?」
出てきたのは、若々しいお姉さん。
『あのっ…蓮斗くんのクラスメイトです。友達に、見てこいって言われて…』
「あらー、ありがとねぇ。最近、女の子が入ってきたとは聞いたけど、まさかあなたが…?」
『あ、ハイ』
少し遠慮がちにうなずくと、お姉さんは、あたしをじぃっと見つめて言った。
「可愛い子だわっ♪」
『え?』
「もぉーっ♪可愛いっ」
『へっ…』
「あら失礼。私、蓮斗の母親の、乃亜です」
『え……』
こ、この人がぁっ!?
母親って……えぇ!?
『若い…ですね』
あまりの若さについ口に出てしまった。
「へっ?…まぁ!ありがとねぇっ!いい子っ♪」
乃亜さんは、少しも遠慮せずにあたしの頭を撫でた。
『あの…』
「ごめんなさいっ♪蓮斗ね!部屋にいるわっ♪こっちこっち」
乃亜さんに誘導されて、あたしは蓮斗の部屋までやってきた。
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