【完】ラブ☆パワー全開
「ほんなら、俺帰るな? 何かあったら電話してな?」
「え……」
哀しそうな綾さんの顔。
一瞬……喜んでしまう俺。
「ごっ、ごめんね。
うつっちゃ駄目だから……帰ったら手洗いうがいしてね?」
居て欲しいなら、
そう言って欲しい。
それなら、いくらでも居れんのに。
風邪がうつるとか……そんなんじゃなくて。
てか、綾さんに看病してもらえるなら、尚更嬉しいんやけどなぁ。
「……帰っていいん?」
俺……何言っとんねん。
アホかっ!
目を丸くして俺を見つめられ、
「なんて……な?」
って綾さんの髪を撫でながら苦笑い。
部屋を出て、大きな溜息。
あかん……俺、今日変やわ。
何でこんな余裕ないんやろ?
今すぐにでも抱きしめて、
キスしたい……なんて思ってもてる。
バイクに跨り、ハンドルに額をつけて反省中。
病人やぞ。
俺はともかく、綾さんはしんどいねん!
わかってる……わかってんやけど。