【完】ラブ☆パワー全開



俯くあたしの頭に、
コツンってメットがあたった。



「はい、メット被って?」

「うん」



優しい声に、
素直に頷きメットを被った。



「忘れ物はないー?」

「もー、子供じゃないんだから大丈夫だよ!」

「本間にー? 今日の綾さん、何か抜けてそう」



今日は、仁に笑われっぱなし。


ぷぅっと頬を膨らましながらも、鞄の中を確かめた。



「ほーら、大丈夫……あっ!」

「あっ?」



ヤバイ。
あたし……子供だ。



「どうしたん?」

「携帯忘れちゃった……」

「ほらー、抜けてる」



また笑われてしまう。


さっき、電話して
慌てて家を飛び出したから、置いて来ちゃったのか。



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