ゆびきり
私は、なんだか強がる梨由を放っておけなかった。







「梨由は、それで幸せなの?辛くない?」







梨由は目を丸くして私を見る。








全然、幸せそうにみえないよ。








「幸せ…か…、日和には参るよ」







そういって、無理に笑って見せる梨由をみると、心が痛くなった。








「梨由は、私の話を聞いてくれて、元気づけてくれるのに、梨由が幸せになってないと嫌だよ」









私の言葉に、梨由は、無理して笑うのをやめた。








そのかわり、落ち着いた悲しい表情に口角だけ上げた。








「私の初めて好きになった人は、もう死んじゃったんだ…だからね、せめて、好きだった人と同じ名字になりたくて結婚するの…」









梨由…







梨由の話に私が涙してしまった。








< 12 / 309 >

この作品をシェア

pagetop