ゆびきり
今まで、私の顔を見なかった詠士が、私の方をみる。その顔に私は顔を赤くしてしまう。







「すげー、いい香り。俺っぽいの選んでくれたんだね」







詠士の優しく、満足そうな笑顔が嬉しくて、私は気づいたら涙が頬を流れていた。








「お前、何泣いてるんだよ」






泣いてる私を見て、驚いて真斗が言った。







「べ、別に泣きたいわけじゃ…」







私は慌てて涙を拭う。







「本当、お前泣き虫だな」







呆れた顔だけど、優しい笑みを見せてくれる。







「だって…、男の人にプレゼント渡したことなくて…喜んでくれるか不安で…でも、よかった」







本音を言えた私は、もう、我慢するのを止めて、嬉し涙をずっと流していた。







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