エリートな彼は溺愛を隠さない
今は夜の宴会中。

一人で静かにいる事の多い私の側には先ほどから、代わる代わる誰かがお酒を勧めにやって来る。

夏哉のいる方をちら、と見る。

彼の周りには大勢の人達が賑やかに集まっていた。

男女合わせて十人近くの人達が彼を真ん中に取り囲んでギャーギャー騒いでいる。

私は視線を正面に戻し、はあ、と息をついた。

「城田ー、どうしたぁ。
お前も星野のところへ行きたいのかー?」

…はっ!!…そうだ、部長がいたんだった。

私の肩を掴んだまま、部長はニヤリと笑った。

「あいつは、やめておけー。あんな奴はお前じゃあ無理だー」

「………」

…そう。私も今までそう思っていたんですよ…。

私は部長がそそいでくれたビールのグラスをグッと掴むとそれを一気にゴクゴク飲み干した。



< 118 / 164 >

この作品をシェア

pagetop