わんことにゃんこの愛し方



……なぜだ。


どうしたらどうなってこうなったんだ。


私はただ呆然と今この状況を、テレビでも見ているかのように他人事ぬように受け流そうとしていた。

「ねぇ、新山さんって好きな歌手とかいる〜?」

「化粧品どこの使ってんの〜?」


……休み時間に入った途端、クラスメートに囲まれました。


あれだけ愛想がない挨拶をしたにも関わらず、なぜか先ほどの茶髪くんと同じようなことになっている。

――…ああ、顔のせいか。

この顔は悪目立ちしてしょうがない。

まぁこの顔のおかげで、今まで友達には困らなかったけど。


私は少し引きつりそうになりながらも、興味津々の彼ら彼女らに笑い返す。

「ごめん、歌手とか疎いんだ。あとあんまりメイクとかしなくて。」

「えっ、すっぴん!?」

「これで!?」

かなりの驚きように、私も逆に驚いてしまい、しかし周りの女の子を見て、気付く。

黒く縁取ったアイラインに、ピンクの頬、つやつやの唇。

メイクをしていない子なんていなかった。

思わず、しゅんっと肩を落とす。

「そ、そうだよね、今時すっぴんとかあり得ないよね…」

「あ、いやそういうわけじゃなくて…」

「でも私そうゆう女の子らしいの似合わないんだよね、ほら、私こんな顔だから。」


自嘲じみたような空笑いでおどけて見せれば、
しかし期待に反して、彼女らは同意するどころか、口をぽけっと開けてこちらを見ていた。

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