【短編】保健医の憂鬱
「村岡先生。
今は生徒もいますし、少し落ち着いてください。
今朝の件に関しましては
教頭先生にしっかりお話して
お許しも頂いてます。」


「そ、それは…。
しかし、私は理由を…。」


「そんなに知りたいなら
教頭先生に聞いたらいいじゃないですか?」


思わぬ助け舟が村岡の後ろから飛んできた

村岡と変わらぬ身長
しかし
顔は雲泥の差で男前
細身で白衣の似あう化学教師

「小松原先生…。」


村岡はきっと小松原を睨むが
小松原は飄々と笑みを浮かべ村岡を見据える


「生徒の前で高宮先生に恥をかかせるのは
今後の為にも
良くないと思いますよ?」

と囁いた


何が今後だ?!

こんな変態野郎とは
金輪際かかわりをもちたくはない



「そ、そうですね…。

あ、いやぁ~お騒がせして申し訳ない。
失礼します。」


村岡は焦ったようにさっさと出て行った


残された私と長瀬は唖然としてその姿を見送る


「高宮先生、塩いります?」

長瀬はそう言って
携帯用のゴマ塩を私に差し出していた
< 10 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop