【短編】保健医の憂鬱
何の因果か
結局
昼休みは長瀬と二人で取ることになった


テーブルの上には
色とりどりのおかずが輝く手作り弁当

かたや
近くのコンビニで買ったサンドウィッチ
インスタントコーヒー


「すごいね…。
お母さん料理好きなの?」

豪華な弁当を見ながら言うと
長瀬はクスッと笑った


「違います。
これ、僕が作ったんですよ。」

「は?」

思わず長瀬を見る

彼は少し頬を染めて恥ずかそうに続けた


「僕、料理とかお菓子作りとか
昔から好きなんです。

あと
可愛い物も大好きで
このタンブラーも自分でデこったんです。」

言われて見れば
長瀬のタンブラーは
シルバーとグリーンのストーンで
キレイにデこられている

「あ、ちなみに中身はジャスミンティです。
飲みますか?」


と小首をかしげて言われた時
なんだかどっと疲れが押し寄せた


「遠慮しとくわ。」

ため息交じりに言うと
長瀬は「そうですか。」といって
弁当を食べ始めた
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