龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
「よう、圭吾」

悟くんは陽気に言いながら居間に入って行った。

「よくも朝の四時からたたき起こしてくれたね」


圭吾さんがニヤリと笑う。

「それじゃないと特急に間に合わないだろ?」


「しづ姫のためじゃなきゃ一発お見舞いするところだよ。返り討ちに会うだろうけど。で? そちらのレディとこわもてのお兄さんは誰?」


「隣の夏実よ」

なっちゃんは笑顔で言った。

「こっちは双子の弟の航太」


「僕は羽竜悟。そこにいるひとでなしの従弟だよ」


「ひとでなしついでに朝飯の支度を手伝わせてやるよ」


「相変わらず人使いが荒いな」

悟くんはあきらめたように言うとわたしの方を見た。

「着替えておいでよ、しづ姫」


「待ってて、わたしも手伝うよ」


「だいじょうぶ。自慢じゃないけど、料理は得意なんだ」


男性三人組が料理をする間、わたしとなっちゃんはテーブルの用意をした。

食卓には椅子が四つしかないので、部屋から勉強机の椅子を持って来た。

何とも不思議な顔ぶれの食卓だったけど、なんだか楽しい。


「圭吾さん、悟くんが来たってことは、今日のわたしはお留守番?」


「ああ。二、三時間で帰って来るけど」


「あんたが、しーの彼氏?」

航太が悟くんにきく。


「僕はお守り役。彼氏はそっち」

悟くんはフォークで圭吾さんの方を指した。


「はぁ? マジで?」
< 46 / 74 >

この作品をシェア

pagetop