龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
圭吾さんの言ってる事が分からない。


「別に何も。気に入らない事なんてない」


「じゃあ、どうして帰るなんて言う?」


「だって都合がいいんですもの。連休の前日が教員研修でお休みなの」


「ちょっと待って!」

圭吾さんは顔をしかめてこめかみを押さえた。

「話が噛み合っていない気がする。もう一度きくよ。何をしに帰りたいんだい?」


「持ってきたい物があるの。それに親父の仕事仲間に会いたいし」


「連休中にお父さんの家に行ってきたいって事だね?」


「さっきからそう言ってるじゃない」


「で、僕に連れて行ってほしいんだね?」


「そうよ。でも、圭吾さんが忙しいなら――」


「いや、都合をつけるよ」


伯母さまと彩名さんが詰めていた息を吐いた。


「志鶴ちゃん、脅かさないでちょうだい」

伯母さまが言う。


< 5 / 74 >

この作品をシェア

pagetop