龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
「それとね」


「何?」


「わたしのケータイが変だって美幸が言うの。圭吾さんに見てもらえって」


友達の美幸は羽竜の親戚で、普通の人が見えないモノも見える。


「見せて」


わたしはポケットから携帯電話を取り出して圭吾さんに渡した。


圭吾さんは電話の裏表をじっと見つめる。

それからわたしに戻した。


「天気予報にかけてくれる?」


天気予報?


わたしは言われた通り天気予報に電話をかけた。

受話器から明日の天気をしゃべる声が流れる。


「切っていいよ。あの娘はホントに目がいいな」


「これ何か変?」


「何かのまじないがかかってる。場所を追跡するような。電話機を変えた方がいいな」


「なんで? 誰がそんなことを?」


「分からないね。気付いたのは最近?」


「えーとね」

少し口ごもる。

「十日くらい前かな……」
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