紙飛行機
こわかった。
見知らぬ場所に連れて来られて、ホントは
泣きたかった。
でも、大好きだったアユムくんの為なら
なんでもした。
怖い。怖い。怖い。怖い。
静まり返った辺りでアユムくんの気配は
なかった。
「アユムくん.....。」
ふと、あたしが小さな足をうずくまった
雪の中から踏み出したその時、
がくん―――ッ、と嫌な音がした。
あたしはワケがわからずどこかへ
転げ落ちた。
まっさかさまになる、あたしの体。
痛いじゃなくて、すごく重いものがあたしの
まだ、幼いあたしの体に叩き乗る。
そう、それは間違いもなく、重力。
落下してるあたしの小さな体は、重い重い
重力に押されていた。
「きゃあああああああああああ」
その時から、意識はなかった。
そう、これが悲劇の始まり。
始まりに過ぎなかった。