紙飛行機
「シズク!!シズク!!」
泣きじゃくるお母さんの声がする。
なんだろう、お母さんの泣いた声なんか
初めて聞いたな。
ピッピッと嫌な機械音が耳に嫌なくらい
入る。
「ぅ...っ、...ぅう」
あ、れ。この声、
「シ、シズクごめんねえええ...っ!!」
アユムくんが意識がなくなるくらいの
声であたしを呼んでいた。
いや、謝っていた。
どおして、謝ってるの?
「シズク、お願い..っ..から、目を、
さま..して」
お母さん、何言ってんだろう。
確かに、怖かった。あの重い重い
重力が小さなあたしの体に乗ったんだから。
でも、あたし死んでないよ。
お母さんったら、縁起でもないこと
言わないでよ。
「シ、..シズクぅぅぅぅぅぅっ!!」
機械音って、嫌だな。
小さい頃のあたしには、悪魔の音でしか
聞こえなかった。