紙飛行機

「シズク!!シズク!!」

泣きじゃくるお母さんの声がする。

なんだろう、お母さんの泣いた声なんか

初めて聞いたな。

ピッピッと嫌な機械音が耳に嫌なくらい

入る。

「ぅ...っ、...ぅう」

あ、れ。この声、

「シ、シズクごめんねえええ...っ!!」

アユムくんが意識がなくなるくらいの

声であたしを呼んでいた。

いや、謝っていた。

どおして、謝ってるの?

「シズク、お願い..っ..から、目を、

さま..して」

お母さん、何言ってんだろう。

確かに、怖かった。あの重い重い

重力が小さなあたしの体に乗ったんだから。


でも、あたし死んでないよ。

お母さんったら、縁起でもないこと

言わないでよ。


「シ、..シズクぅぅぅぅぅぅっ!!」

機械音って、嫌だな。

小さい頃のあたしには、悪魔の音でしか

聞こえなかった。



< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop