静かな海の兄き
今度は

翔の顔をじっと見ると

「タメじゃねぇか。」

そう言って

翔の頭に手を乗せ

「敬語はやめろ。」

一言言うと

翔の頭を2回

“ポンポン”

と軽く叩くと

優しく笑った。

なんだろ…
あったかい感じがする

宏史の手が乗ってた部分に

そっと 自分の手を乗せてそう思った翔。

「翔 ちょっと付き合ってくんね?」

宏史はそう言いながら
翔にむかって

白いヘルメットを放り投げた。

「わっ。」

急に投げられたものだから

危うく 落としそうになった翔。

「どこへ?」

ヘルメットを抱きしめながら聞く翔に。

「内緒。」

優しい笑顔の宏史は

一言そう言い

ヘルメットを被った。

 ええ?
 でも…

 父さん達に何も言ってないし…

 それに…ここまで来た理由も、まだわかんないのに…

この土地まで一緒に来た両親の事を

心配に思いながらも

「早く。」

目の前の宏史に

また

強引に引っ張られていく翔は

そのまま

宏史に身を預けてしまった…
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