ただ二文字が言いたくて





「弟、…ですか」




なんかい聞いたのか分らないぐらい昔から言われ続けてるこのコトバ



俺は一花のこと、一度も姉だなんて思ったことない



なのに一花の中の俺はずっと”大事な弟”のまま




”俺”をみてくれることなんて一度もない




小さい頃から感じてた違和感はどんどん大きくなるに連れて増していくばかりだった



いっちゃんから一花になって志田センパイと呼び名は変わっていくけれど一花は俺のことを今でも”梓”と呼ぶ



梓って一花に呼ばれると自然と心があったかくなる気がする



他の誰に呼ばれたってそんなことないのに。



でも一花の好きは家族の好きだから俺が求めてるものを貰うことは今もこの先もずっとない



これは予想ではなく確信だ




「………副生徒会長サマに大事な弟と思っていただけるなんて光栄だなー

……サボってますけどね」

「うるさい」



俺がなんでもないようなフリをしてそう言うと一花は嬉しそうに笑った




でもその笑顔は彼氏に見せてる笑顔じゃないことぐらいちゃんとわかってる
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