夏の名前
校内散策は中止。
私はスタスタと席まで歩くと
ストンと椅子に座った。
「なんか…翔くんが携帯やってる姿って意外。」
そう言ってクスクスと笑うと
「普段みんなの前ではあんまり出さないから。」
と携帯を閉じて机に置いた。
あれ?
どっかで見たことあるような…
とハッと思い出し、
ブレザーのポケットから自分の携帯を取り出す。
「い、一緒!!」
赤い携帯の隣に置かれた
ピンクの携帯。
「ホントだ…。瑞稀ってピンク好きなの?」
「うん、大好き。」
誰も居ない教室で、
男のコと二人っきり。
…お兄ちゃんに言ったら
しばらく口きいてくれなくなりそうなシチュエーションだな。