幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「声が聞こえたんだ。ホークがお昼の支度を頼むって」


「分かりました。サンディお嬢様のお仕事は終わったんですね?」


「午前の部はね」


「ちょうどお茶を入れたところですから、お座りなさいまし」


「ミリー」

先代伯爵夫人が言った。

「わたくしの言う事を横取りしないでちょうだい。こちらにいらっしゃい、サンディ」


あたしは先代伯爵夫人の横に座って、ミントのお茶を入れてもらった。

爽やかな香りに、泣きたい気持ちが収まって行く。


でも


一人取り残されたようなこの気持ちは、二度と元に戻る事はなかった。







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