幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
――やれやれ、ずいぶん早い時間の呼び出しだな


ジャルグはベッドの上をゆったりと歩き回り、気に入った窪みでも見つけたのか、尻尾を横に曲げて腹ばいになった。


「ねぇ、あんたユニコーンの召喚呪文って知ってる?」


――お師匠さんに聞きゃあいいじゃねぇか


ジャルグは面倒臭そうに言って、目を閉じた。


「ホークも知らないんだって。王家の秘術だから。おまけに内乱の時の火事で魔法書も残ってないの」


――どうして人間ってのは愚かなんだろうな


ジャルグは閉じていた瞼を開いてあたしを見た。


――オイラが呪文を教えるのはルール違反だ


「そうなの?」


あたしはがっくりと肩を落とした。


――けど、召喚呪文が残っている場所なら心当たりがあるぜ


「本当? ど、どこっ?」

< 168 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop