幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ただし問題が一つある。


「いきなり修道院に入りたいって言っても、ホークは許してくれないだろうな」


――だろうね。正直言ってオイラの事も、あのお師匠さんがどう判断するのか、予測がつかねぇ


ジャルグは、また目を閉じた。


――慎重にな。嬢ちゃんの魔法は、織り機を取り上げられたら使えなくなる


「うーん」

あたしは唸りながら、ジャルグの横に仰向けに倒れた。

「目に効く薬が修道院にあるってのは?」


――使いを遣って取り寄せるって言われるんじゃねぇのか?


「そうだよね。やっぱり、修道女になりたいって言うしかないか……召喚呪文を見つけたら出て来ればいい訳だし。出て来れるよね?」


――嬢ちゃんがそのままいたくても、追い出されるから心配すんな


「あたしは真面目に言ってるのよ! あーあ、どんどん自分がなりたいものから掛け離れて行くなぁ」

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