幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「イヴェイン様」

引率の尼僧が慌てたように言ってお辞儀をした。

「お騒がせして申し訳ありません」


ん? ひょっとして偉い人?


見ると、ウイローミア達も腰を屈めてお辞儀をしている。


「これ! 頭が高い」

顔をちょっとだけ上げて、あたしの様子を窺った尼僧が小声で言った。

「王妃様の御前ですよ」


ああ……王妃様……


王妃様ぁ――――??


あたしも慌ててお辞儀をした。


王妃様って王様の奥方でしょ?

どうしてそんな方が修道院にいるわけ?


「この者達が新しい話し相手ですか?」

王妃様が尋ねた。


「お話し相手として参ったのは、ジェニスタだけでございます」


「そう。たくさんいた方が楽しいのに」

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