幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ありがとう」

王妃様は小声で言った。

「見送りはいりません。ここでお別れしましょう」


「王妃様? いつお戻りですか?」


あたしの問いに、王妃様はニッコリと笑顔を見せた。


「王の御心次第です」


何だろう?

何だか嫌な予感がする。


レディ·クリスタルと王妃様が出て行ってからしばらくして、修道院長が来た。


「王妃様は出立されました。何日か前に、王妃様からお預かりした物です。あなたにと」


それは手紙だった。


『忠実なる アレクサンドラ――』


あたしは手紙を全て読み、急いで立ち上がった。


王妃様の部屋の片隅に置いた鳥かご、その中にはホークにもらった小鳥が入っていた。

あたしは震える指で、鳥かごの留め金を外した。

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